米国の高校の経済教科書の翻訳の試み

高校の経済教科書、米国から 大和証券が翻訳

2005年09月18日15時20分

 価格の決まり方など経済の仕組みを分かりやすく解説した高校生用の「教科書」を大和証券が作製した。米国の高校生が実際に使っている教科書を同社の社員が翻訳したもので、学校教育でも使える経済の入門書としては珍しいという。教育関係者らには約500冊を無料提供する予定。大和証券は「貯蓄から投資へと言われる時代。自分で意思決定できる人材を育てるためにも、活用して欲しい」としている。

 出版するのは「アメリカの高校生が学ぶ経済学」(26日発売予定で2520円、WAVE出版)。米国の高校で一般的な教科書の一つ、「Principles and Practices」(原理から実践へ)の99年版を、同社商品企画部の山崎政昌さんが約2年半かけて企画・翻訳した。

 きっかけは、証券業務に携わってきた経験から、日本では株式の選び方はもちろん経済の仕組みの理解が広がっていないと感じたこと。会社に入るまで経済とは無縁という人も多く、「高校などの学校教育で経済の基礎を教えることの重要性を感じた」という。

 同書では、難しい数式を使わない。「ただのモノはない」という例として、レストランが開店などで配る「無料ランチ券」を取り上げている。このサービスは、次回に来店してもらうための投資という面もあるが、無料券を持っていない人が無料で食べた人の費用を負担しているという側面もある――。こうした経済の仕組みを理解するための入り口を身近な例で説明している。需要と供給や、マクロ経済にも話は及び、社会人の学習用としても応用できる。

 教育関係者や学生らに無料で提供する約500冊程度は抽選で。9月中に、大和証券グループ本社のホームページのCSR(企業の社会的責任)欄から申し込みできるようにする。