元旦の各全国紙

今年は用事があって自宅を動けないので、元旦は、気がついてみると日曜日恒例の全国紙読み比べをしてしまっていた。印象としていつもゆっくり読みたくなるのは日経。年の初めにじっくり考えたくなる特集記事が多い。朝日は農水相秘書がNPO審査につき内閣府に照会したという一面記事はあるがそれ以外に目を引く物が少ない。社説は戦後ニッポンを侮るな、と大きく打ち出すが、問題点の指摘に留まっていて具体策の提案がない。読売は日中首相相互訪問へ、が一面に。インターネット上の誹謗中傷の問題を連載物として取り上げその初回記事を一面記事に持ってきた。連載だから全体を通してみないと感想は書きにくいが、伝統的な報道媒体からみた問題提起・取材という枠組みは維持されているようだ。社説の「世界一を目指そう」は毎週聞かされると飽きるだろうがたまに元旦にもってくるとわかりやすく読者に訴えるかもしれない。読売は東芝・石播がロシアの原発建設参入へという経済記事を一面に。今後米国がどのように反応するかも要注目だが、目を引く記事だ。その他、国有地の時効取得の問題や、日銀月内利上げの記事を入れており一面記事としては日経を除くと一番充実しているかもしれない。社説はいかにも読売の方針を正面から出しているが、「タブーなき安全保障論議を」。分量も多めに取って新聞社としては具体的な方針を明確に出して読者に訴えかけている。

元旦の新聞というのは、翌日が休刊ということもあって、人々の目に長く触れる可能性が高い。それだけに一面を含め紙面の編集の巧拙が大きく効いてくるように思う。読者の好き嫌いもあるが、今年の元旦の新聞の対比は、この全国紙3紙のもつ性格の違いを示しているかもしれない。