ASEAN首脳会議閉幕 路線転換、憲章起草へ |世界|国際|Sankei WEB

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ASEAN首脳会議閉幕 路線転換、憲章起草へ 

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 【セブ(フィリピン中部)=藤本欣也】東南アジア諸国連合(ASEAN)は13日、セブで行われた首脳会議で、最高規範となる「ASEAN憲章」の指針案を承認し、憲章の起草作業に入ることを決めた。指針案では、加盟国ミャンマーの民主化問題への対応で足かせとなっていた「内政不干渉」と「全会一致」の原則を見直すことが盛り込まれ、創設40年を迎えるASEANは路線転換を目指すことになった。今後の起草作業で文言をめぐる調整が図られるが難航は必至だ。

 首脳会議では、フィリピンのラモス元大統領らをメンバーとする「賢人会議」が作成した指針案を基に協議された。

 全会一致の原則について指針案では「全会一致が得られない場合、投票に付される議題もあり得る」と多数決制の導入を容認。内政不干渉をめぐっては「ASEANの原則を著しく侵害した場合、加盟国の権利の一時停止もあり得る」と制裁発動を認める内容となっていた。しかしミャンマーなど一部加盟国から異論が出たため、指針案はひとまず承認するものの、この日の首脳会議で採択する「憲章の青写真に関するセブ宣言」には明記しないことで調整が図られたという。

 今後、各国代表による高級作業グループが憲章の起草作業に入り、11月にシンガポールで開催される首脳会議に草案を提出することになる。

 ASEANが路線転換を迫られている背景には、加盟国ミャンマーの民主化問題がある。ASEANはこれまで内政不干渉と全会一致の両原則に縛られて有効な対応を取れず、欧州連合(EU)や米国など国際社会から非難されてきており、当事者能力が問われる事態となっている。ラモス元大統領は「中国とインドの台頭など、アジア情勢の変化に対応するためにも機能を強化する必要がある」と語る。

 ただ、一党独裁のラオスやベトナムは内政不干渉の全面的見直しには懸念を示している。軍事クーデターによる政権交代も「制裁」対象となり得るだけに、昨年、クーデターを起こしたタイも抵抗勢力の一翼を担うなど、加盟10カ国の足並みはそろっていないのが現状で、憲章の起草作業では曲折がありそうだ。

 《共同体創設 5年前倒し》

 【セブ=藤本欣也】ASEAN加盟国の首脳は13日、フィリピン・セブで、域内の統合を加速し「ASEAN共同体」の創設を5年前倒しして2015年までに実現することなどを盛り込んだ首脳宣言を採択した。また、域内のテロ犯罪容疑者の身柄引き渡しなどを可能にする「対テロ協定」に調印した。海外への出稼ぎ労働者の権利保護に関する宣言や、世界貿易機関(WTO)新多角的貿易交渉ドーハ・ラウンド)の早期再開を促す声明も発表した。

 ■「ASEAN憲章の青写真に関するセブ宣言」骨子

 一、創設40周年を迎えたわれわれのさらなる挑戦のために憲章を起草

 一、憲章はASEAN共同体を達成するための基礎

 一、憲章の指針案をまとめた賢人会議の報告書を承認

 一、高級作業グループが11月の次回首脳会議までに草案を策定

(セブ 藤本欣也)

(2007/01/14 01:35)