日々一考(ver2.0) - 日本銀行ワーキングペーパーシリーズから

リンク: 日々一考(ver2.0) - 日本銀行ワーキングペーパーシリーズから.

[]日本銀行ワーキングペーパーシリーズから

以下面白そうな論文なのでチェック。備忘録

1.渡辺真吾・小倉將信「アジア通貨単位から通貨同盟までは遠い道か」

本稿では、アジア通貨単位(ACU)の設定・公表や将来の共通通貨導入を展望したアジア為替制度に関する一連の構想について、伝統的な最適通貨圏の議論だけでなく、幅広い観点から評価するほか、欧州通貨単位ECU)の経験から得られる含意を整理する。共通通貨の導入に関し、最適通貨圏条件に基づく先行研究の多くが、少なくともアジアの一部地域については妥当としているが、歴史政治・制度環境の他、各国の経済発展段階やマクロ経済政策トラックレコードにおける相違を勘案すると、実現上解決すべき課題は多いとみられる。また、共通通貨導入の移行過程における管理相場制についても、アジアでは通貨アタックを受けるリスクを無視できない。さらに、ECUの経験をACU普及上の含意という観点から振り返ると、当局の取り組みのみならず、市場における通貨統合に向けた期待の醸成や国際的な関連決済制度・金融商品市場の整備が重要であると分かる。また、現金通貨を持たないECUでの商取引が限界的であったことや、ECU決済上安全性・利便性において改善すべき点があったこと、対域内通貨で変動範囲が設定されていたECUでさえ乖離指標として注目されなかったことなど、ECU普及上みられた問題への対処も課題である。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp06j21.htm

2.大澤直人「為替に対する金融政策反応:インフレーション・ターゲティングを採用する東アジア3か国の実証分析」

本稿では、インフレーション・ターゲティングを採用している東アジア3か国(韓国タイフィリピン)の金融政策反応関数を推計し、金融政策が為替に反応してきたかどうかを分析した。先行研究とは異なり、これらの3か国が為替に反応していることは実証できなかった。先行研究は1997、1998年アジア金融危機のサンプルを含む一方、本稿は危機後に導入されたインフレーション・ターゲッティングのサンプルに焦点を当てている。危機中に為替減価を防ぐために金利が大きく反応したことが、先行研究の結果との違いをもたらしたと考えられる。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/ron/wps/wp06e14.htm