R・アーミテージ 中東の安定化

読売新聞への寄稿。
イランを取り上げ、イランの再浮上と、イラク国内の分権化の進行をまず取り上げ、後者のイラクが自力で立つためには、適切な訓練と武器をもつ軍隊と警察、政治的な和解、および、効果的な統治の3つが必要とする。しかし、評価しうる前進は第一点のみで残り2点に改善がない限り、安定したイラクの実現は難しいとする。またイラクにはトルコ問題という影があり、イラク国内のスンニ派とシーア派の宗派間暴力の高まりを上げる。他諸国内の不安定な動きも取り上げ、アラブ世界内部の重心がカイロからリヤドに移りつつあるときに起きていることに注意を向ける。湾岸諸国が好況に沸く中で民間部門が経済の創出に進み、若者を中心に保守的な宗教観に向かう流れも指摘知る。その中で米国やその政策への寛容度が低下していることにも注意を喚起し、その中で、日本は客観的な対話者の役割を担っているとして、パレスチナ問題への協議・支援プログラムの度欲を継続、拡大すべき、伝統的な友邦との関係を発展させること、サウジなどその他の諸国との相互関係の多様化を図るべきこと、をあげ、最後に、イランとの外交関係のきずなを維持することの重要性を上げる。
この寄稿は、安倍首相退陣前に書かれた可能性が高いが、その分を割り引いても、日本の中東における貢献を高く評価し今の政策を支持する内容の寄稿である点には注目すべきだろう。