米国の安部首相辞任への見方

日曜日の新聞で米国の、安部首相辞任や小沢民主党代表のテロ特措法更改への厳しい見方を伝えているものがあったので、きになってAmerican Enterprise InstituteのMichael Auslin氏の元のペーパーを読んだ。timelyな寄稿であり小さな意見交換会も持ったようなので、まさに時宜を得た試みなのだが、その内容は先の新聞では十分に伝えられていないようだった。

米国の政府関係者の中には、小沢氏が反テロ法を政治的な弄びとしていることに怒りを表明しているものがある。しかし、彼らは同様に、安部のどうしようもなさ(helplessness)にも怒っている。

もっとも、安部氏が小沢代表に会談を申し入れて断られたところは、これで選択肢がなくなったとの言い方をしていて多少好意的。

インド洋での給油については日本は高品質の燃料を供給しているが、これは米国のなしえないところで、これがパキスタンや英国の船に供給されている。日本が燃料給油を行うことができないと、パキスタンがその船を引っ込めることになりそうなことで、これはアフガンの連合軍からイスラム教の国が消えることを意味する、と説明する。

さらに、これを日米同盟のグローバル化の結果とし、小泉前首相も安部首相も、自衛隊の海外活動を大きく拡大することが日本の国益に最もかなうことかという説明を行ってこなかったが、日本のこういったテロとの戦いへの参加は、日本の北朝鮮の核プログラムへの戦いへの前払い(donw payment)の色彩もあるとする者がワシントンにも日本にもいるという。

小沢代表は日米同盟に重点を置いていないが、外交上も選挙対策上も望ましいものではない。ワシントンは急に同盟上の約束を変えることはないが、日本がより独立的なスタンスを長くとれば、冷戦時代の米国とフランスがそうであったようにゆっくりと両国を引き離していこう。そういった米国と日本の乖離を選挙民がかぎ取れば、選挙民は小沢を罰することになろう。いずれの場合でも、それはワシントンのほかのアジア地域への政策にも影響を与え、米国の中国接近と信ずる向きも出てこよう、としている。

米国の中にはかなり今回の動きを警戒してみている向きがあるようで、それ自体はありがたいことだと思う。小沢氏の政策に国民がどの程度の支持を示すものか、安部さんが結構世論に無頓着な姿勢を続けただけに、小沢さんに修正の可能性をにわかに期待するのはちょっとはばかられるが、常識的な対応をお願いしたいところ。選挙に勝つだけの政策提示では結局国の行く末を誤る。