第8回日中韓財務大臣会合共同メッセージ(マドリード)を読んで

すでに財務省のホームページに「第8回日中韓財務大臣会合共同メッセージ(ポイントのみ)」が載っています。去年のアジア開銀総会は京都だった。早いものでもう1年。

http://www.mof.go.jp/jouhou/kokkin/200504joint_message.pdf

日本、中国、韓国の財務大臣は、2008年5月4日、スペイン・マドリードにて第8回財務大臣会合を開催。現下のマクロ経済情勢、金融情勢、地域金融協力及びその他について意見交換。

日中韓財務大臣会合が、アジア開銀総会の前後に定期的に開催されているようですが、ステートメントもこのように毎回出されるようになってきました。色々な面で良いことだと思います。

日中韓の引き続き底堅い経済成長を歓迎。他方、世界経済のダウンサイドリスクが増すなか、世界的な景気減速を完全に免れることはできないとの見方で一致。我々は、潜在的なリスクを注意深く監視し、情報共有の強化、事務レベルでの会合拡大及び日中韓のマクロ経済・金融状況についての理解の深化を通じて、協力を推進していく必要を認識。

現在の国際金融市場の混乱は経済にとって主なリスクであり、域内における金融取引及び物・サービスの取引の双方の相互依存は強まっている。マクロ経済を担当する当局及び金融安定化を担当する関係当局間で議論を強化する必要を強く留意。我々は、この意味で日中韓財務省、金融監督当局及び中央銀行が参加する会合をまず本年中に開催することの重要性を認識。

新聞報道では、新設される会合は「マクロ経済・金融安定化ワークショップ」と呼ばれること、アジア版FSF(金融安定化フォーラム)とも言えるもので、返事から当局同士が協調する場となる(朝日)といった解説がされている。

解説を見ると、ワークショップには3カ国の財務省、金融監督当局と中央銀行が参加し、各国の金融市場に関する情報を共有する他、証券化商品のリスク管理のあり方などを議論することを想定しており、将来的に、この枠組みを、ASEAN加盟国にも拡げたいhしている(朝日)。

ワークショップには財務省、金融監督当局の他に、中央銀行が参加することが明記されている。中央銀行が総裁レベルだけではなく、色々なレベルで積極的に参加することは、各国で中央銀行が果たしている役割や、東アジアの地域金融協力で中央銀行がこれまで果たしてきている役割や実績からいっても、重要なことだと思われます。また、そういった枠組みが日中韓から生まれることは、ASEAN+3のスワップ協定のネットワークや債券市場振興について日中韓が果たしている役割の大きさからいっても、自然であり、将来スムーズにその枠組みが発展していくことにつながるものと思われます。

「事務レベルの定期会合を開催することで合意。金融資本市場が不安定になるなか、経済全体に深刻な影響が及ばないように情報交換や分析を強化する。第一回会合は、年内に開く予定。」(日経)。

日経では、額賀財務相が提案し、中韓財務相がこれに同意したとの説明が付いている。

さらにこのステートメントには以下の記述がある。CMIの強化というテーマでも日中韓が主導的な役割を果たしていることがこのステートメントから確認できるように思います。

ASEAN+3財務大臣プロセス下の地域金融協力の進展を議論・歓迎するとともに、日中韓の引き続き緊密な協力へのコミットメントを再確認。CMIのマルチ化の一層の前進を歓迎。CMIマルチ化のいくつかの基本的な要素について合意に達した。日中韓での議論をさらに緊密化することにより、CMIマルチ化のすべての事項について合意するべく、一層努力していくことに同意。
ASEAN+3各国の債券市場の発展を目的として、アジア債券市場イニシアティブ(ABMI)を引き続き支援することに同意。ABMIが、各国の市場改革を促進し、ASEAN+3の政策面での協力を促進することによって、最近の域内債券市場の発展に貢献したと認識。アジア債券市場の一層の発展に向けてABMIのもとでの取り組みについて一層協調を図っていくことに同意。
日中韓の協力とこの会合の成果に満足。日中韓財務大臣プロセスが、引き続き、強化された政策対話と協調のための効果的な手段としての役割を果たすとの見方で一致。