ASEAN+3財務大臣中央銀行総裁会議に常設事務局設置を検討

20081121日経朝刊(小さな記事)では、ASEAN+3財務省中央銀行総裁会議の事務レベル会合で、チェンマイイニシアティブを、すでに合意している800億ドル(これはこれまですでに締結しているものを指すのだろう)以上の規模で多国間化(マルチ化の意味か)することを来年5月の会議で最終決定することを確認した、という。

ここまでであれば、これまでの延長線上の話。

ところが、20081122日経朝刊 東アジアの金融安定 監視強化へ常設機関 ASEAN日中韓が検討 危機の再発防ぐ では、

  • 12月中旬にタイで開くASEAN+3首脳会議で、各国のマクロ経済や為替政策、金融監督体制を調査・監視するための常設機関を創設することを具体的に検討することで合意する見通し。
  • 機関にはマクロ経済や金融の専門家を集める。
  • 政策の「調査・監視(surveillance)」は、各国の経済状況や財政、為替、金融監督などの政策が適切か定期的に点検する仕組み。
  • 新機関にどの程度の権限を与えるかは今後詰めるが、問題が判明した場合、政策の見直しを求める勧告権を持たせることを検討する。現在の枠組みでも「経済レビューと政策対話(ERPD)」があるものの、各国の担当者が頻繁に代わり、中長期的な話ができない。
  • チェンマイイニシアティブの事務局のような機能を持たせ、外貨融通の発動を判断させることも検討する。
  • アジア開発銀行などの国際機関内にもうける案や、独立の機関として設立する案が浮上している。

これは、ここ4,5年かけて徐々に東アジアで民間シンクタンクレベルでも議論を進めてきた、チェンマイイニシアティブのマルチ化+常設事務局設置の検討の話。土曜日の朝刊に出たことで、いよいよここまでの話が可能になったことが想像されるが、多少なりとも関わった者としては感慨深い。世界的に再び金融危機が深刻化し、今後も米ドルの下落など不安要因が根強い中、東アジアでの地域金融協力をすすめ、地域の専門家による力のある常設事務局を機能させて、地域的な危機については早期対応を図るのは、正しい処方箋だろう。