江副浩正氏の不動産価格暴落のロジック

江副氏のロジックに興味があったが、著書は未読。
たまたま中央公論の2月号に、「再び不動産価格は暴落し低迷政治が日本を潰す」との記事を見つけた。

まず石油価格の話
石油会社への備蓄義務づけ(85日以上)、また、国税庁先入れ先出し法を石油会社に要請しており、今市場に出ているのは昨年9月頃購入の一バレル70ドル前後の原油。これから3割程度上昇見込み。
OPECに増産の可能性はない。
マンションやビルの原価も高騰。→工事を受注したゼネコンの採算悪化見込み。
地方では車が一人一台の時代でありガソリンが今から3割上昇すれば生活水準切り下げの必要。

ついで不動産価格
これまでのマンション販売好調の背景は、超低金利が継続したこと、樹優宅取得時の税制上の優遇措置(ローン残高の一定割合を所得税額より控除、買い換えにも所得税がかからない制度)。住宅取得機構による「フラット35」なども下支え。
しかし、今後は以下の要因から大きく下落する不動産が登場。
①首都圏での分譲マンションの適正供給量は45千戸(どうやって計算するのかな)といわれるが、ここ10年近く首都圏だけで年間80千戸のマンションが新規分譲されている。賃貸住宅も最近は140千戸建設。このように供給過剰
②周囲のベッドタウンを離れて都心部に移り住む人が急増しており、周辺地域の不動産は今後も値下がりの可能性。
③立地の悪い物件については債務返済の延滞で自己破産も
④今回、打つ手がない。金利は既に下げ余地が少ない。国には金融機関を救済する余裕はない。ステップ償還などはリストラにあった借入人には繰り恣意。借り手も銀行も苦しむか。

住宅数がすでに世帯数を上回っており、また、地方や国の財政があっかしているのに、住宅優遇税制を延長するというところを問題視。江副氏は、住宅市場全体のあるべき需給を見てそこから議論をしていることがわかる。「国の施策が内向きでその場しのぎ」と結論。もっとも、ゼネコンについては、大手ゼネコンの国際競争力が強いことを付け加え。