出井 康博さん 長寿大国の虚構 外国人介護士の現場を追う

取材を積み重ねてかかれた好著。最初のうちは、結論の方向が見えず、やや戸惑うが、しばらくして、具体的な取材のひとつひとつが興味深い問題指摘であることに気付く。興味が向かう。

FTAEPA上の介護士受け入れのもつ必要性には触れられていないが、日本側の受け入れの問題点が官僚組織のもつ弱点につながっていることを知ると、心が暗くなる。いつもこのような仕上がりなのだろうか。民間との交流の必要性を痛感するのだが、間違いだろうか。ジャカルタ現地で取材すると日本側から都合の悪いことについては口止めされている例まで出てくる。その中でも志の高い若者が日本に来ていることが示される。

実際にこのプログラムでインドネシアやフィリピンから来ている人達の一人一人が無事に成長し、できれば日本の国家試験にも通って欲しいと願うばかりだ。