大手銀行と中小銀行の利害対立-米国金融システム再建を巡って

resolution authority(整理機関)設立案が3月末に財務省から提示されているが、これを巡って、中小銀行は、その費用は対象となる大手銀行のみが負担すべきで、中小は一銭も負担すべきでない。そもそもFDICの保険料にしても一律というのは問題で中小は料率を下げるべき、というのが中小銀行の主張である。

ところが,今日のFTは、ある調査によれば、
1.今回ストレステストの対象にならなかった銀行についてこれを実施したとすれば、19行以外の200行についてみるとその38%が資本不足に陥り、162億ドルの資本不足に陥る。
2.さらに、同様に残余の7700行に適用すると、さらに78億ドルの資本不足になる。500行程度の銀行が閉鎖の可能性あり。
3.この資本不足額を合計すると、240億ドルの調達が必要となる。
今回、テストの方法や資本の適正さについての考え方が公開されたことで、このテストの基準が19行以外の金融機関についてもモデルとなる可能性があるという。

ということは、中小銀行は、大手のトラブルに巻き込まれ余計なコストを負担させられていると主張しても、大手主導のストレスや自己資本比率の考え方に翻弄され、それに従わざるを得ないということになりつつあるようだ。