天覧劇

 河竹登志夫さん 私の履歴書 の14回では、河竹さんが大学院の終了論文のテーマを「明治天覧劇の研究」として、明治20年4月26日に行われた明治天皇による史上初の歌舞伎感激の話が出てくる。東大の明治新聞雑誌文庫に通った話。調査研究の結果、この天覧劇は、条約改正に悩む初代伊藤内閣が、日本も西洋に負けぬ国になったことを諸外国に示すために企てた一大イベントだったことが明らかになったという話。先進国では皇室も好んで観劇するというところからのアイディア。
そして、「3年前の4月25日、いま同じ敷地に建つ国際文化会館で、両陛下の臨席のもとに120年ぶりの天覧歌舞伎が行われた。私は、総合監修と解説を受け持ったが、はからずも半世紀前の図書館通いが役にたった。」と結ぶ。
 昨年なくなった同会館の(前)理事長高垣佑さんの追悼号に河竹さんが寄稿されていたことを思い出した。