大学教育改善 政府が関与する全国組織を を読んで

金子元久氏。米国の大学、社会の強さを論じ、大学の学部教育の費用が上昇したこと、および、教師の研究志向と学生の無気力化を前に投資を大学教育の内容の濃さに結びつけることが求められたことをまず指摘。そこでScholarship of Teaching and LArnin-SoTLの運動が出たとしている。1998年にカーネギー財団の資金で開始され、今は様々な大学で自主的な取り組みがなされているという。毎日新聞16日朝刊。以下はメモと読後感想。

その趣旨は、大学教員が、研究と同様の位置付けを教育に与え、そうした観点から相互の経験を交流していくことによって、各専門分野を通じて、よりインパクトの高い教育実践を作り上げていくことにある

そうした運動を実践的に担う場として、各大学に、コンピューターや情報技術の大学教育での利用の促進を目的に設置されたセンター類が、大きな役割を果たしていることである。

そうした組織が、技術的な支援だけでなく、授業の運営のしかたについての、教員間の経験交流の格好の場となり、さらにその成果を学内、あるいは大学間で交流するネットワークの基盤となった。

経験はーーー大学教育高度化に向けての投資を積極的に行うとともに、それを生かすメカニズムを形成していくことである。

そうしたメカニズムの一つとhして、大学教育改善のための全国的な組織を付くrことを提案したい。米国の場合はこれを民間財団が始めたが、残念ながら日本の場合にはそれは期待できない。政府組織が積極的にかかわる必要がある。

その基盤がすでにないわけではない、例えば、メディア教育開発センターは情報技術だけでなく、そのソフト面で大学改革への寄与を視野に入れた活動を行っており、その組織とノウハウを活用することもできる。

全国及び地域レベルでの中核組織が、各大学での教育改善のための様々な試みをもたらし、またそれが全国的に波及していく。そういした形で、大学教育の日本的メカニズムを始動させることが必要。

概ね以上の論旨。疑問は以下の2点。

  • 日本では民間財団にサポートを期待できないとされている根拠がこの小論上は不明。民間財団に向けてサポートを求めるという結論にも仕立てることができたと思いますが。
  • 大学教育改善のための全国的組織に政府組織が積極的に関わる必要がある、というのは民間財団に支援を期待できないから、と読めるが、ここももう少し説明して欲しいと思います。米国の大学の強さはむしろ民間のメカニズムが自主的に動いているところに強みがあるのであって、政府組織関与という方法が本当にベストなのだろうか。日本の大学も厳しい環境下、生き残りをかけてお互いに競争、切磋琢磨しているところ。
  • メディア教育開発センターの活動については、少しウエブサイトなどで情報をあつめてみたいと思います。