アジア通貨協力の文脈 大機小機 「童」氏

中国学界でも、人民元通貨圏の形成ではなく、アジア通貨協力により人民元の切り上げ圧力やドル急落に対応すべきたとの主張が多い。年12百万人の新規雇用創出を要する中国は、より広域での人民元安定を必要としている。

(途中略)樊綱は、ACU研究での日中協力に楽観的である。ACUの研究、さらには、ACUを各国為替政策の参考指標とするところまでは可能な範囲である。早い機会にこのことで日中が合意しておくことは、将来のアジア通貨情勢に大きな意味を持つことと思われる。

他に、通貨面での日中協力が、戦略的互恵関係具体化の一つとなること、アジアの平和と繁栄について日中が責任を共有することの意思表明にもなる、との指摘や、中国が通貨協力を選択せざるをえない状況を作ることが肝要、との主張には賛成。中国でナショナリズムが高揚して国論が人民元通貨圏支持に傾く可能性があるという点も留意する必要。
ただ、アジア通貨単位はアジア開発銀行提案とされているところはやや事実に反するのでは(RIETIの研究)。