岡崎久彦氏 地球を読む

米国で日本への関心が(一層)薄くなっていることを指摘。WSJが唯一福田政権への移行に際して社説を掲げたが、拉致問題での日本の国民感情の尊重をうったえたのみ。長期的な東アジアの外交戦略の観点からは論じていない。
首相訪米1週間前のヘリテージ財団のクリングナー氏の論文は、福田政権への移行に失望を隠さないが、それでも福田氏を安倍氏と比較して、保守的アジェンダは引き継ぐが、憲法改正や中国封じ込めのための日米豪印協力などには前任者ほど熱心ではないとしたという。
FTは(小生は見逃したが)2日にわたって解説記事。福田政権は、前ほど世界の問題値引きで大きな役割を果たすことに乗り気ではないが、事態収拾のための絶好のはまり役、と分析。
このように知日派は以下のスタンス。

  • 今まで通りの期待は福田政権に持てない
  • しかし、東アジア情勢を考えると、日本を無視し阻害するようなことをしてはいけない。東アジアで中国や北鮮に対するバランスとして日本に多くを期待することが米国の長期的目標。そのために逆効果になるようなことは戒める。福田政権を見守る。

但し、ヒラリーは、中国との関係が今世紀の最重要な二国間関係とし、日本については環境協力に触れるのみ。
マケインは、日本も含めてアフガニスタンでの西側同盟国の協力を称賛し、世界的な民主主義の連名をつくることを提唱。同盟というバランスオブパワー的発想で国を守るもの。これに対してヒラリーは、6カ国協議フレームワークの上に北東アジア安全保障制度を築くべきとする。東アジアの安全保障の基礎が日米同盟より多数国間協議に移る可能性があるので警戒すべきとされる。
ただ、両者とも日米豪印の協力には支持を照明。

最後の一節。米国ばかり便りにしていても米国の方がいつか中国の方に行ってしまうのでは?との問題提起に対して、それを回避するには、米中の仲を裂くか、日米同盟を強化するか、いずれか。実際には公社しかない。正攻法は、まず、知日派を挫折させず勇気づけること。
集団的自衛権の行使と、日米豪印の協力の2点については、否定的あるいは後ろ向きの発言を控えるべき、というのが結論。

最後の結論部分を引き出す論理展開を銘記しておきたい。