David Wessel氏の分析 米国の資本主義の歴史を変えた10日間 too great to ignore(ことが重大すぎて無視できない)

今日のWSJでの署名入り記事は良くこのところの経緯をまとめ、的確な評価を加えている。
http://online.wsj.com/article/SB120657397294066915.html?mod=mkts_main_todays_mkts_tac

議会での審議や票決なく、共和党政権が、大恐慌時に不評をかったフーバー政権の再登場とみられることを恐れて市場に混乱の解決を任せることなく、(1)JPMにベアスターンズ買収の価格を引き上げさせるために、FEDがベアスターンズのポートフォリオについて290億ドルまでは損失を引き受けることとした。これは最終的には税金投入である。(2)FEDは、史上初めて証券会社に直接融資を行った。ここ3日間、証券会社はFEDから一日平均313億ドルの借入を行っていた。

ついで議会はFannie MaeとFreddie Macに増資を求めたが、それと引き替えに、これら2社がレバレージを増やすことを認めた。それによって2000億ドルのMBSの購入が可能になる。2社はこれによってより規模を大きくすることになるが、これは不動産融資市場が混乱している状況では歓迎すべきことだ。2社のシェアは、昨年第2四半期の46%から第4四半期には76%に増加した。
他にFederal Home LoanBanksも、この2社よりは資本は少ないが、(同じように)適格MBSを購入することができるようになった。

いずれにしても金融市場の混乱はtoo great to ignoreなものになっていた。大恐慌が深刻なものになったのは、最初の政府の施策の方向性が間違っていたからだ(wrong-headed)。バーナンキもこういった誤りを回避する手法を学ぶことでアカデミックなキャリアを築いてきた。
では、今回取られているこういった施策は機能しているのか?少なくともそれは助けになっている。モーゲージ金利と国債金利のGAPを縮小するにはMBSへの需要を増やす必要があるが、3月6日には2.92%であったのが、今週水曜日には2.22%に縮小しているという。通常はこのGAPは1.5%だ。もっとも短期金融市場のストレスはまだ除去されていない。
むろんこれでは十分ではない。
第一に、家計、コミュニティーへの打撃を緩和すること。第二は、住宅やMBSの価格下落で貸し手が手を引いて経済や資産価格がさらに下落することを回避すること。