星野三喜夫 たかが英語、されど英語 日本人の「英語メタボ症候群」の処方箋  を読んで

きちんと学校教育から英語を学習し積み上げた人による英語学習法の登場を待ち望んでいました。自らの経験と重ね合わせると、思わず膝を打つ箇所がいくつかあるのは嬉しいところ。でも、それ以上に、著者がこれまで試行錯誤を重ねてきた様々な英語学習方の数々に圧倒されます。
 一方で、語り口の自然さ、教材の適切さにも驚かされます。きっと、学生達を顧客として、新潟産業大学で苦労されてきた一つ一つの経験を、教材に反映したり、教授法に反映する過程で、色々な気づきがあって、それがこの本をまとめられる過程で、見事に形になったのでしょう。
 この本を読みすすめる際の、なんとも形容しがたいさわやかさと充実感、それにとてもよく工夫された、交響曲の細部と見まがうような構成は、そういうところによるものと思います。
 英語は少しずつでも学習を続けるように言われて社会人生活を始めたころを思い出します。幸い、このアドバイスが正しかったことを年々痛感しています。でもやり方は試行錯誤、回り道も多かったように思います。
 特に、社会人になって英語を身につけようといろいろ学習を続けている皆さんや、大学生に英語を教える過程で苦労されている特に民間企業出身の教員の皆さんには、本書の刊行は朗報です。後期の教科書販売は終わってしまいましたが、来期はゼミ単位での外国書講読で利用したいと思います。