オバマ政権の金融システム再建策をクルーグマン氏が批判

http://www.nytimes.com/2009/03/06/opinion/06krugman.html?_r=1

 クルーグマン氏が批判を展開。オバマ政権のやり方のパターンとしては、まず、通常オフレコで銀行救済計画を明らかにするが、すぐに批判を受け、これを若干修正するという。では、なぜ支持を受けないような計画が提示されるのかという点について、オバマ政権やFRBは、troubled assets(問題資産)あるいはtoxic assetsは、もし適切な価格付けがなされるならば、現在市場でついている時価よりも遙かに価値があるはずであり、そのように適切な価格付けがなされれば問題は解決されよう、と考えているためとする。
 実際にガイトナー財務長官は、問題資産の基本的な内在的価値(basis inherent economis value)と、これら問題資産の人工的に低められた価値(aritficially depressed value)とを区別すべき、としている。
ガイトナーは、政府の仕事は、市場が機能するようにファイナンスをつけることであり、それによって問題資産はしかるべきところで価格付けがなされるはずとしている。またそれが金融機関の問題を癒すとしている。
 一方で、これら金融機関の問題資産を買い取る民間の投資家に低利のファイナンスをつけようとしているが、これでは価格が下落した場合買い手はいなくなるし、そもそも間接的に不良資産を作り出した者を税金で支援することになる。
 最後にこういった考え方の背景にあるのは、オバマ政権が、すでに主要金融機関が実質的には破綻しているという事実に直面しようとしていないという点だという。それがアクションの欠如につながっているとする。このエッセーの最初と最後はオバマ大統領の「アクションをとるコストは大きいが、アクションをとらなかった場合のコストはもっと大きい。というのは、数ヶ月、数年ではなくおそらく10年間にわたる経済低迷につながるであろうからだ。」
 明快な批判だと思う。