コイン・トス

世界貿易センタービルは、長い間、ニューヨークやニューヨーク金融センターの象徴であった。テロによる突然の崩壊の衝撃は未だに大きい。幸田真音氏は、この題材に働き盛りのビジネスマン、ビジネスウーマンを絡ませ、崩壊から何とか次の時代への希望をつかもうと筆者の筆は進んでいく。筋書きそのものよりも、この希望をつかもうと登場人物を動かしていく強い意志がみなぎっているところに好感を覚える。登場人物のメインは中年の男女だが若い人も絡ませる。こういう筋書きの小説がいくつかはあってもよいのだろう。