為替レートの柔軟性欠くアジアの開発途上国、さらなる柔軟性付与の検討を=谷垣財務相 ロイター

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為替レートの柔軟性欠くアジアの開発途上国、さらなる柔軟性付与の検討を=谷垣財務相

2005年 05月 5日 木曜日 15:53 JST

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 [イスタンブール 5日 ロイター] 谷垣財務相は5日、アジアの開発途上国に対して、経済ショックに対する調整が容易になるよう、より柔軟な為替レートの採用を促した。アジア開発銀行年次総会での演説草稿で明らかになった。

 また、谷垣財務相は、アジア太平洋地域について、原油価格の高騰のほか、中国経済の動向といったリスクが存在する、との認識を示した。

 輸出主導型経済を持つアジアの多くの国は、米経常赤字など世界の不均衡是正のため、米国などから為替変動の自由化圧力が高まっている。

 同相は、「経済ショックに対する調整がより容易になるよう、為替レートの柔軟性を欠く域内の開発途上加盟国にとってそのさらなる柔軟性を付与する方向での検討が望ましいと考える」との見解を明らかにした。

 同相の発言は、主要7カ国(G7)の立場をあらためて示すもので、人民元を米ドルに事実上固定している中国に言及している、とされる。

 これに先立って、中国の金人慶・財政相は4日、中国政府は人民元改革を実施する覚悟だが、為替レートに関する市場での憶測の広がりが中国政府が行動するのを困難にしている、との見解を明らかにしている。

 

 谷垣財務相は、演説で、アジア太平洋地域経済について、「原油価格の高騰や中国経済の動向、繊維および繊維製品に関する協定廃止の影響等のリスク要因が存在することを忘れてはならない」との考えを示した。

 また、同相は、貿易・資本取引に関する政策・制度等の改革が適切な手順により円滑に進められることを期待している、と表明した。

 日本については、「国内民間需要の増加を中心に景気回復が続いている」とし、日本がアジアで直面している課題は域内からの直接投資を呼び込むことと強調。「国際的な投資交流を促進するため、アジア諸国との租税条約の改正交渉に積極的に取り組んでいる」との見方を示した。

 同相は、2007年に予定するアジア開発銀行の第40回年次総会を京都市で開催することについて、総務会が決定した、と明らかにした。