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FTA:
見直しが迫られる他国との交渉戦略

 日本とマレーシアの自由貿易協定(FTA)交渉が25日、東京都内で開いた小泉純一郎首相とアブドラ首相との首脳会談で合意したことで、東アジア重視で進める政府のFTA戦略は一つの山を越えた。ASEAN(東南アジア諸国連合)有数の工業国との交渉は難航したが、経済産業省は「自動車部品の関税の即時撤廃や鉄鋼の免税は大きい」と強調する。

 ただ今後については、タイとのFTA交渉で7月決着が見込まれ、インドネシアとは交渉開始(約1年後の合意目標)が控えているものの、その他の展開が見えておらず“踊り場”となる。韓国とは交渉再開のめどがたっておらず、戦略の見直しも迫られそうだ。

 日本のFTA交渉は、政府の経済財政諮問会議で民間委員から進展が遅いと指摘されている。政府は、経済的な結びつきが強いASEANを軸に実績を重ねることで、「東アジア共同体構想」に弾みをつける戦略を描いている。

 残るタイやインドネシアとの交渉のほかに、各国との個別協定を補完するASEAN全体とのFTA交渉も4月に始まった。ある国で組み立てた部品や半完成品を隣国に運んで完成させ域内分業生産品の関税を撤廃するためだが、調整事項も多く、決着までに2年を予定している。

 FTA交渉の先行きで深刻なのは韓国だ。03年12月に交渉がスタートして1年以上が経過した。だが、韓国側は、ノリについてWTO(世界貿易機関)に提訴するなど、農水産品分野で対立して交渉は中断状態にある。政府内には6月に韓国で開かれるAPEC(アジア太平洋経済協力会議)貿易相会議や、日韓首脳会談で交渉再開のめどがたたなければ「冷却期間が必要」との声も出ている。【小島昇】

毎日新聞 2005年5月25日 20時40分