テレビが面白くない理由ー大橋巨泉さんの指摘

テレビが面白くない理由をうまく書いてくれている。この方、年老いても切り口は鋭く敬服。私にはLarry King Liveは結構精神を集中してみないととても難しいけれど、どうやって突っ込むのか、それをどうかわすのかを見せてくれるような気がする。BBCの番組にももう少し地味だけれどそういうものがある。

リンク: 日経ビジネス EXPRESS : 【大橋巨泉氏】金持ち、勝ち組、インテリはテレビなんか見なくなった.

1つの原因は、編集技術の大進歩です。僕がテレビにかかわり始めた1950年代後半から60年代は、編集というのはまず不可能だった。---VTRはあったけど、編集は簡単にはできなかった。どうしても編集したいと思ったら、台詞とかバックの音楽を頼りに、はさみを入れてテープでつなぐ名人芸が必要だった。---ところが、80年代に入ると、モニターを見ながら切れるようになった。--でも、僕は、たけしは例外として、あとは生と同じようにやっていた。例えば、「クイズダービー」は、30分番組で中身が26分だったんですが、絶対に27分しか撮らせなかった。今そういう伝統が残っているのは「徹子の部屋」ぐらいじゃないですか。--編集できるようになると、まずディレクターにメリットがある。彼らは自分の思うように、まるで映画監督のように番組を作れるわけですから。そして、タレントにとってもメリットなのは、放送禁止用語などを気にしないで言いたいことを言って、後でディレクターに切ってもらえる安心感ですね。

ただ、僕は映画は監督のものだけれど、テレビはホスト(司会者)のものだと思っています。だから、その辺のあんちゃんディレクターに、はさみを入れてほしくないんだな。僕は自分のテンポ、自分のリズムで司会をしているわけです。司会というのは会を司ると書くんだから。マスター・オブ・セレモニーだからね。-- 米国の「ラリー・キングショー」「トゥナイトショー」といったトークショーは、今でも全部生です。でなければ、アドリブの良さが出ない。日本がやっているのがなぜつまらないかというと、タレントのアドリブで番組を作っているのに編集するからですよ。

--(米国では)ビル・ゲイツもブッシュ家も、ニュースやスポーツ中継以外、テレビなんか見てませんよ。(日本も)勝ち組とか金持ちとかインテリがテレビを見なくなっただけなんですよ。負け組、貧乏人、それから程度の低い人が見ているんです。だから、芸能界の裏話を共有した気になって満足しているんです。--我々の頃はみんなが見ていた。だから、30%、40%の視聴率が取れた。でも、今じゃ、僕だってテレビなんか見ないもん。テレビを見ている暇があったらインターネットを見た方が、面白い話がたくさん出てくるよ。テレビは今に「貧困層の王様」になるはずです。