国際金融センター目指す上海、香港との差別化と共存 2006/11/12(日) 15:40:02 [中国情報局]

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2006/11/12(日) 15:40:02更新
  上海市ではアジアの国際金融センターを目指している。その中で課題となってくるのが、香港との差別化。上海市の政府筋は、「上海が人民元建て債券の発行業務を効果的に育成できれば、アジア地域で非常に特色のある市場に成長できる」と指摘する。また、地域経済の強化、財産権取引の整備、沿海運輸・物流網の構築、金融市場全般の体系化で、上海市としての強みを発揮する必要があるとされる。中国新聞社が伝えた。

  上海交通大学安泰経済・管理学院の潘英麗・教授は、「国際金融センターを目指す上で、上海は香港との差別化を図らなければならない。香港、シンガポールでは、政府債発行が少ない。今後、上海が人民元建て債券市場を形成できれば、アジア地域において影響力ある市場になれるだろう」と語る。

  潘・教授は「上海は資本市場が未整備。そのため、私有財産権を保護する制度を確立し、司法の透明性と執行力を高める必要がある。金融業の遅れが目立つが、低コストの強みを生かして挽回すべきだ。人民元高や長江デルタ地域の高成長、洋山深水港の開港など好条件を、国際金融センターとして成長するうえでの推進力とすべき」と指摘。

  潘・教授は上海市の第11次5カ年規画(「十一五」、06−2010年)制定にも参画している。上海市の競争力向上には三つの柱が必要であるとする。

1.長江デルタ地域の協力強化、製造業の内陸部への移転を進めると同時に、サービス分野に注力する。
2.今後5年間をかけて、中国全土の財産権取引センターとしての位置づけを確固たるものとする。
3.商取引や物流面における保障や保険、法務サービスを充実させ、資金的サポートを強化、金融と物流の双方において国際センターとしての機能を確立する

  潘・教授は「確かに香港はしっかりとした資本市場を確立しており、国際金融センターとしての基盤も備えている。一方でコストが高いという課題も抱えている」として、上海市が香港に必ずしも劣らないことを示唆。

  また、「香港では優遇税制を進めており、独自の貨幣体系も持っている。そのため、キャピタルフライトマネーロンダリングなどの金融面における違法行為の取り締まりや、金融危機リスクの低減など、中国本土と香港が協力していくケースが今後ますます増えるだろう」とし、香港との共存を見据えた見解を示した。(編集担当:斎藤奈緒子)

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