高原幸 大人のためのちょっと贅沢な恋とワインの物語

アマゾンに高原幸「大人のためのちょっと贅沢な恋とワインの物語 」(出版社: 東京図書出版会 (2007/05))の書評を書きました。審査に1週間程度必要とのことですが、ひょっとして採用されないと無駄になるので、それ(1週間という期間)に合わせて7月8日付でアップしておきます。

都心を中心にしたおすすめの複数のレストランとそれぞれで提供されるワインが紹介されます。すてきな女性を誘いたいという人にも、接待の場所に苦慮するビジネスマンにも、記念日にはパートナーだけで食事に行きたいが場所のアイディアが、と悩む人たちにとっては、ユニークな道しるべになることと思います。

筆者は世界中を出張で旅したビジネスマン。でも普通の出張者の域を超え、訪れた街々でその土地の料理を求めて執拗にレストランを探し回ったのでしょう。その過程で身につけた知識、蘊蓄を惜しげもなく提供しています。

でも、色々な情報も入門的な知識から少し奥に入ったところで打ち止めになります。余韻が残ります。もっと知りたいというところで止められると、機会があればもう少し調べてみたい。紹介されているレストランにも行ってみたい。そんな気持ちになります。

主人公であるビジネスマンは、ある女性と出会いからここで紹介されるレストランで交流を深めていきます。千夜一夜物語で様々な物語が紹介されていく様も思い起こさせますね。

文章はきわめて軽やかです。文章も読みやすく歯切れ良く物語が語られます。読みやすい文章というものがあることをあらためて感じさせてくれます。

評者には、見つけることのできなかった仕掛けがあるかもしれません。春夏秋冬と4つに区切られた章で37のレストランが紹介されます。このようなレストランとは縁遠いのですが、ぐっとわき上がる羨望の気持ちをおさえて、それでもなお惹かれるものがこの本にはあります。
それは、筆者の人柄かも知れないと思います。どんな方なのでしょう。