日本の消費をはかる統計の不備

リンク: Ycaster/Day by Day.

2007年02月18日(日曜日)

 (23:45)日銀が利上げを躊躇する一つの大きな要因は、「消費が弱い」だが、私はずっとこの見方には疑問があると思っていた。自分自身もそうだが、消費のルートが複雑化しているのに、日本の統計はそれを拾えていないと思っていたからだ。

 そう思っていたら、日経ビジネスの2月19日号の「進む消費者、追う統計」という面白い記事があった。この記事は、日本の消費統計の実体、欠陥を明確に示していて面白い。「消費が盛り上がっているホットスポットが消費統計から漏れている」で始まるこの記事の指摘は興味深い。日本の消費のレベルを指し示す一つの有力な統計としては「商業販売統計」があるが、この記事は

この統計は百貨店、スーパーなどの小売店が対象で、急成長するテレビ通販やインターネット通販はそもそも対象外。通販での売上高を毎月集計する政府統計は存在しない

通販を補足する政府統計は2〜3年に一度。全国の小売店(通販や無店舗販売も含む)や卸売店の売上高などを細かく調査する「商業統計」があるが、日本最大のネット書店「アマゾンジャパン」は対象外である。アマゾンは通販事業者ではなく、「他に分類されない専門サービス業者」だからだ。「楽天」も対象外である

今急速に伸びている「駅ナカ」も商業販売統計や商業統計の対象外である。商業統計の調査員は担当地域をつぶさに回るが、駅の中に行ってまで調べない。またショッピング・センター(SC)も商業販売統計から漏れている部分がある。小規模の店舗の売り上げが政府統計に入るのは2〜3年後だ

サプライサイド(モノを売る側)が不備なら、デマンドサイド(モノを買う側)の統計も不備だ。サンプルが8000世帯(日本の世帯数は確か4500万前後)と少なく、全世帯数の3割近くを占める単身世帯は対象から外れている。単身世帯は別に四半期ベースで行われるが、やはりサンプル数は700と一段と少ない
 と。良い指摘ですね。こういうことを無視して、昔ながらの統計で「消費が弱いので.....」では話にならない。その次のページの記事は、「膨張する不可視消費」。日本人は海外でも大量の買い物をしているし、そもそも統計の対象とならないような零細企業の集まりである秋葉原やネット空間でも買い物をしている。さて、どこを経済活動の実体とするのか ? 日銀はこういう点も配慮すべきでしょう。