武田邦彦さん 日本よ、「京都議定書」を脱退せよ

タイトルは編集者がつけたのだろうか。文藝春秋3月号。「地球温暖化について国をあげて騒いでいるのは日本くらいだという現実」とのことだが本当だろうか?

佐和隆光氏 京都会議にNGOの一員として参加したが、日本が議長国であったことからすれば信じがたい話なのだが、事実上議定書の筋書きはEUと米国により密かに練り上げられていて、議長国日本は終始一貫蚊帳の外に置かれっぱなしだった様子を目にしたと書いておられるらしい(Kei 2008年1月号)。森林の吸収量の算定をめぐって外務省、通産省、環境庁の官僚が本会議場で内輪も値を始めた??

新興国を抑えこもうとしたが、新興国・発展途上国から先進国が原因の問題でなぜ新興国、途上国の発展が制約されるのか、と猛反発を受け、結局削減義務は先進国にのみ課されることとなった。その中で、EUは、数値目標の基準年を自分達に有利な1990年として削減率を実質的に増加率に化けさせた。

温暖化ガス排出量(1990)同(2000)削減率(会議時)同(署名時)差し引き
日本 11.9 13.4 13% -6% -19%
米国 61.3 70.4 15% -7% -22%
ドイツ 12.5 10.1 -19% -8% 11%
英国 7.4 6.5 -13% -8% 5%
カナダ 6.1 7.3 19% -6% -25%
ロシア -38% 0% 38%



このように京都議定書参加155カ国中実質的な削減義務を負ったのは米国、カナダ、日本の3カ国のみ。米国議会は批准を拒否。カナダは2007年4月に離脱。これにより、京都議定書の削減義務を遂行しているのは日本のみとなった。

さらに、「排出権取引」市場を通して欧州の金融を活性化する、原子力についても反対運動はあるもののドイツ、フランスが研究開発を進めていることを記述。他に色々な興味深い記述あり。

筆者の主張は、日本が即刻京都議定書から脱退すべきというもの。
そこまでいかずとも、京都議定書の内容をより先進諸国にとってはフェアなものとする方向に動けないものだろうか。あるいは、米英日で設立する基金を活用しながら主導的に関わっていくという挽回の方法もありそうな気がする。
佐和氏は、関係した官僚達への配慮から今日まで京都議定書での日本の失敗を口にされなかったのだろうか。真実はひとつの筈だが、闇は深い----。