金価格が1オンス1000ドルを越えた

ロンドンエコノミストの記事(3月13日付け)を読んで勉強。

金が唯一価値を保蔵することができ、紙幣はその本源的価値、これはゼロなのだが、それに向かって減価しよう、とする考え方を裏付けるものだ。また、金は、1980年につけた過去のピークの値段(850マルク。その後3分の2下落)にも届いておらず上昇余地がある。こういった辺りが金価格の一層の上昇を見込む理由となっている様だ。
確かに、FRBはインフレよりは成長への関心が強い。インフレ懸念が強いとすれば金はヘッジ手段と考えられる。
また、Carlyle Capitalが債権者によって清算を余儀なくされたこと、Bear Sternsの株価がここ5年間では最安値をつけたことで、金融システムの安定性への懸念が生まれている。銀行預金より物理的な存在である金が選好されよう。
金の保有者として上場投資信託が915トン以上保有しており中銀並の存在になっている。これがリテールの投資家も金の保有を進める背景になっている。貴金属としての需要は多少頭打ちになっていても、供給はまだピークを打ったままで回復の兆しがなさそうである。
短期筋は、金が長く言われてきた1000ドルという大台に乗ったことで利食いの衝動に駆られようが、ヘッジファンドの多くは上昇トレンドを追いかける戦略をとっている。
商品価格上昇が米国の経済成長の鈍化と平行して起きているのは妙なことだが、これは新興国至上の需要が米国からでカップルするという前提によるものだ。この前提が崩れれば、商品価格も急落し、インフレ懸念の後退に結びつき、金価格にも影響しよう。

色々な要因にバランス良く触れられていると思うが、このような背景分析を読むと、新興国経済が相当落ち込まない限り、金価格への波及(=下落)の可能性は低いという感じがする。