インフレへの途上国対応如何


http://www.iht.com/articles/2008/06/23/business/inflate.php

考え方1:G-7各国が金利引き上げによって通貨高を目指すべき。
従来の、中国や他の途上国経済に人民元の切り上げを求めることでグローバルな不均衡の是正を求めるという考え方からの大きな修正であり、グローバルなインフレ問題や途上国での過度の金融緩和状態に焦点を当てるもの。
これにより、途上国が経済は相当成熟していきているものの、金融調節、金融市場関係ではまだ未成熟で経験にも乏しいという状況に立ち向かうことが必要になる。
この考え方の前提は、G-7が先導することで、途上国がインフレや経済の過熱への対応面ではまったく役に立たない通貨安政策を放棄すること。
しかし、中国、他のアジア諸国、サウジアラビアに共通するのは、米ドルに事実上ペッグしているので、第一に、最近の米ドルの金利が下降することで、本来経済の過熱状態に対抗して金利を引き上げるべきときに逆の処方箋を余儀なくされ、第二に、原油も米ドルで支払われることからサウジアラビアなどは米国以外から輸入するものの値段が上昇しインフレの輸入を強いられている。
(HSBC Stepehen King他)(後半はMartin Feldsteinが先週どこかに寄稿しているらしい。)

考え方2:中国は今や助けというより問題である=インフレを輸出しているということだろう。しかし、Standard Chartered Bankのエコノミストたちは、HSBCのKingとは意見を異にし、急激な金利上昇は愚かだとしている。経済が高成長を続けている際に引き締めるのはよいが、成長が鈍化した状況では引き締めるのは正しくないとしている。こちらは同行のレポートで訴えているようだ。

さて、この記事の最後に、上海から西海岸へのコンテナー運賃が2000年には3000ドルであったのが今は8000ドルもかかるということで、貿易障壁が取り除かれたことによるコスト削減部分が吹き飛んでしまうとし、グローバル化はひっくり返しうるとの意見が紹介されている。これは興味深い観点。(Jeff Rubin and Benjamin Tal, CIBC)