第11回アジアの未来

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中国副首相、東アジア共同体で日中協力を

講演する中国の呉儀副首相=23日午前、東京・大手町の日経ホール
 中国の呉儀副首相は23日午前、東京・大手町で開いた国際交流会議「アジアの未来」(日本経済新聞社主催)特別セッションで講演し「中日協力はアジアの平和、安定、発展の必要条件」と強調、東アジア共同体の実現などに向け日中関係を早急に改善するよう訴えた。焦点の人民元改革については準備を進めており、必ず実行すると言明した。

 講演テーマは「アジアの振興と中日両国の共通の責任」。副首相は東南アジア諸国連合(ASEAN)と日中韓3カ国を軸に構成する東アジア共同体が政治、安全保障、社会を含む「オールラウンドな協力の枠組み」となるべきだと提唱した。

 具体策として(1)ASEAN+日中韓の計13カ国間の協力拡大と深化(2)日中韓3カ国間の連携促進(3)13カ国以外のアジア域内国との関係強化に努力――を列挙した。

 共同体構想に絡んで指摘される中国の覇権主義は強く否定。「共に勝者になるウィン・ウィンの関係を堅持してはじめて、アジア諸国は未来が開かれる」とも力説した。同時にアジアの一体化に向けて目標と原則を提唱。政治的相互信頼強化、冷戦思考の安全保障観の転換、文明の多様性尊重などを挙げた。

 日中関係の現状について呉副首相は「周知の原因によって、満足のいくものではない」と指摘、「早急に転換しなければならない」と力説した。東アジア共同体などをめぐっては「良好で安定した中日関係はアジアの協力を促進する重要な条件だ」との見方を示した。アジアの繁栄と振興を実現するには日中両国が「歴史的重責を担うべきだ」と述べた。北朝鮮の核問題に関しては「朝鮮半島が安定に向かうのを望んでいる」と表明した。

 副首相は講演後、質問に答え、米国などが改革圧力を強めている人民元問題について「改革は必ず行う。それは中国政府の一貫した姿勢だ」と明言した。同時に「中国の政策はあくまで市場の規則に従って行う。外部のいかなる圧力にも屈しない」と強調しながらも、「改革のタイムテーブルはない」と説明した。