【緊急対談3】「人民元高」で銘柄ごとに明暗が? 2006/11/17(金) 10:44:33 [中国情報局]

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――その他、中国株投資におけるリスクとして注意すべき点は?

■大原――  前回お話した過剰流動性の問題で言えば、1兆米ドルを超えた中国の外貨準備高が今後、どのように処理されるのかについても注視すべきでしょうね。中国の一部有識者の間では、現在の外貨準備高は3000億米ドルほど余分だという見方もあります。

  余剰分をどこに放出するかが問題になってくるわけです。香港に一極集中的に資金を流し込み続けると、香港経済が「バブル」を起こして、H株やレッドチップの市況に悪影響を及ぼす懸念もあります。

  一方、まだ限定的ではありますが、香港と同じように台湾でも人民元が流通できるかどうか、水面下でその可能性が検討されているとの話があるようです。まだ真相は定かではないが、もしこの議論が本格化すれば台湾でもお金が動き始めるような気がします。

  そうなると、今ある台湾から中国本土への資金流入に加え、近未来的には、中国本土から台湾への(友好的な)資金の流れがいよいよ出始める可能性もあると思われます。広義でのアジア中華圏内の流動性が高まるということになります。これも、先ほどお話した企業の実態(業績・財務)と株価との大きな隔たりを生むリスク要因となりかねません。

■高橋―― 人民元高の影響については、どう見ますか?

■大原―― 中国移動(チャイナモバイル)中国人寿保険(チャイナライフ)が大きく値を上げているのは、人民元高を好感した相場の典型例かもしれませんね。これらの企業は元建ての巨額資産を保有していますから。

  これらの銘柄は、「人民元は今後も継続して上がるだろう」との期待感をもとに買われているのではないかと思われます。もちろん、中国移動(チャイナモバイル)に対しては第3世代(3G)携帯電話のライセンス交付や業界再編も材料にされているようですが。

  個人的には、人民元高のトレンドは中期的に継続されてくるだろうと見ていますが、一方で輸出関連分野の銘柄にとって元高はマイナスというのも周知の通りです。

  いま中国は、対中貿易赤字の拡大が深刻な米国に配慮して、貿易黒字減らしを積極的に進めていますね。原油や石炭など一部産品の「輸出税」を引き上げる動きに出ているのも、その一環だと思います。このような動きを考えると、港湾や海運など輸出関連の株価については悲観的にならざるを得ません。

  具体的には、深センなど珠江デルタ地域の輸出が大きな打撃を受ける可能性がありますから、招商局国際(チャイナマーチャンツ)中遠太平洋(コスコパシフィック)などは、この先、株価が伸びないんじゃないかなと個人的に思いますね。

■高橋―― 2008年北京五輪も、相場の区切りではないかと見られていますね。

■大原―― よく言われる話ですが、1964年の東京五輪や88年ソウル五輪、2000年シドニー五輪などを振り返ると、だいたい開催年の前後に株価のピークを迎えているんですね。だから、中国株式(香港上場も含む)も07年までは右肩上がりのトレンドを辿るが、その先はちょっと危ないかもしれないと見ています。

  ですので、個人投資家の皆様方には「08年に入ってからH株を買うことだけはやめましょう」と申し上げているんですが(笑)、現在の“勝ち馬相場”がいったいどこまで続くのか、見極めが大切になってくると思いますね。