金融機能強化法 来月末で廃止 中小の安全網課題に

日経記事。公的資金を金融機関に資本注入する枠組みである金融機能強化法について、3月末の廃止期限を延長しない方針とのこと。2005年4月のペイオフ解禁後、預金保険法と金融機能強化法の2本立てで安全網を敷いてきたが、その一方がなくなる。預金保険法が、国または地域の信用秩序に重大な支障が生じるおそれがあると政府が認めたときに、公的資金による資本注入や預金の全額保護を行うという破綻処理や一時国有化を行うことができるのに対して、金融機能強化法は、預金保険法が求めるような危機の兆しがなくても、経営基盤音強化を望む金融機関の要請で予防的に公的資金を注入する枠組みである。
日本の金融危機は一巡し大手邦銀は体力を回復したが、今後、問題になってくるのは、地方の金融機関といわれているが、預金保険法発動が難しい場合を考えて2004年に金融機能強化法の枠組みが作られた。とすると、信金、信組のように中央組織による資本支援制度を持たない業態は丸裸に近い状態いなる。しかし、その場合は、上部組織の財務基盤を強化する必要が生じる。信金中央金庫にはまだ余裕があるだろうが、日経記事は、全信組連を挙げる。
ここで注目したいのは、金融庁が新しい安全網の創設や強化法の延長について、現時点では否定的とし、その理由として、公的資金によって金融機関を実質的に救済することに反対する民主党が参議院の過半数を握っており、法案を出しても国会審議は難航必至とみられるからだ、とするが、本当にそうなのだろうか。
零細商工業者、小企業経営者が困窮するような事態は民主党も望むところではないだろう。単にモラルハザードを避けたいというだけで、これが本当だとすれば、金融庁の努力不足、説明不足ではないか。