モノライン救済策と金融市場のコンテージョン拡大

週末にニューヨーク州保険局が、モノライン大手FGIC、Warren Buffet、それにソブリンウエルスファンドとの会合を持つ様だ。FGICをgood bank/bad bankに分割するとしてbad bankが保証しているMBSを大量に保有している大手金融機関は、大量の損失をこうむることになる。その損失の程度はbad bankがどういった格付を取得するか次第だ。Calyon、Credit Agricole投資銀行部門、Citigroup、UBS、 Societe Generale、Barclays、 BNP ParibasといったFGICへの資本注入を議論している金融機関のグループはこの格付引き下げにより大きな損失を被るグループでもあるが、金融機関によって対応スタンスに差があるようだ。

IHTでは、クルーグマン教授がauction-rate securitiesで起きた現象を解説しているが、通常は入札が順調に行われるのにこのところそうは行かず、municipalを中心にした発行体が発行コストの上昇に直面している。投資家も投資意欲を減退させている。このような状況で経済がスローダウンしており、FRBが金融緩和をおこなっても企業の調達コストは上昇している。教授の言うように、信認の欠如はまさしく「自己実現的な予言」である。しかし、「金融コンテージョン(汚染)はまだ拡がっている。次の市場はどの市場だろう?」との結びは、距離を置いた傍観者の発言だと感じる。

米国の対応にはスピード感がある。なるほど公的資金を導入しなくとも、金融市場の知恵を絞れば色々なことが可能と感じる。しかし、金融市場のメカニズムにはひずみ、ゆがみが生じてしまった。モノラインの経営を建て直しmunicipalsの発行債券の格付けを維持することで、どの程度のプラスの影響がもたらされるだろう。

今日の日経朝刊では、社債の金利上乗せ幅拡大との見出しの下で、社債の基準金利への金利上乗せ幅が拡大していることを取り上げている。JR東海で10年債、20年債のスプレッドは、15日に募集したものは0.23%, 0.2%と、昨年11月に募集した際のスプレッドと比較するとそれぞれ0.06, 0.02%拡大したという。格付の低いものほど拡大幅は大きいという。CDS指数も上昇しており相互に関係。

日本の政治家達は、この現象をみても、米国発の現象でありしっかり見守りたいとでもコメントするのだろうか。東京に信頼できる厚みのあるクレジット市場を育て世界の金融を安定化させるチャンスでもあるのだが。