asahi.com:道州制 石川は「北陸?」「中部?」 - マイタウン石川

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∞ どうなる圏域 議論加速 ∞

 国のかたちを変える改革といわれる道州制。首相の諮問機関である地方制度調査会(地制調)の専門小委員会は1月、道州制の区割り案をまとめ、石川は、北陸と中部に属する2案が示された。あくまでたたき台に過ぎないが、将来の「州都争い」も絡み、北陸の位置づけをめぐる議論が活発化しそうだ。
(浅見和生)

 ●州都を目指す?

 「北陸3県が一つの圏域を構成するということが自然でないか」

 昨年9月の県議会。道州制について問われた谷本正憲知事は、こう答えた。

 石川は長らく「支店経済」の恩恵を享受してきた。だが、自治体の枠組みが大きくなり、州都が名古屋や新潟となってしまった場合、経済的に大きく地盤沈下する恐れが出てくる。一方、3県で一つの州となれば、州都は金沢に置かれる可能性が高い。このため、「何とか州都を」という思いが見える。

 金沢市も「どんな区割りが良いかはコメントしようがない」としつつ、「3県という枠組みであれば州都は金沢。仮に新潟を含め4県となっても、文化や経済という点でみれば金沢は十分に州都の力はある」(市広域行政課)と力が入る。

 ●難しい区割り

 今回、地制調が示したのは、全国を9、11、13の道州に分けた3パターン。石川は、東海地方とともに「中部」となるケースと、富山、福井、新潟とともに「北陸」となるケースが示されたが、北陸3県の枠組みはなかった。3県では人口や経済規模が小さいといった指摘があるからだが、そもそも石川はどの地域に属するのだろうか。

 国の出先機関は、財務省は北陸3県(北陸財務局)、農水省は新潟を加えた4県(北陸農政局)、法務省高等裁判所や管区法務局)は東海3県と一緒。地方整備局(国土交通省)に限っては、石川、富山は新潟などと一緒に北陸だが、福井は近畿と分かれる。

 各機関の本庁所在地も金沢や新潟などバラバラで、明確な東北や九州と違って、道州制の導入で最も区割りの難しい地域とされる。

 ●主導権を握れ

 北陸の各県は区割りのパターンによっては周縁になる可能性が高い。それなら主導権を握ってよりよい形にしたいと、経済界や自治体は独自案を出すなど懸命だ。

 福井県は、地制調の案では北陸、近畿の2パターンで示されたが、いずれの州でも端になる。こうしたことから、福井商工会議所は昨年12月、全国を4区域に分割する独自の区割りを提案する報告書を発表した。この中で福井は北陸・東海・近畿をまとめる一つの州に入る。これだと、現在の経済・文化のつながりも切れることなく、福井が周縁になることもない。

 03年に「越の国構想」を発表した富山県。構想は、新潟から福井までを州とし、分散型州都とするものだったが、知事が変わって急になりを潜めた。

 これに対し、富山市は「県は道州制に消極的になった」とやや不満気味。「意見が言える段階でないが、北陸3県プラス新潟とが一緒になっても市としては問題ない」(市企画調整課)と地理的中心となることを、ひそかにアピールする。

 表だった動きのなかった石川でも、金沢商工会議所が昨年10月、道州制を見据えて「広域問題研究会」を発足。約2年かけてあるべき姿を考えるという。

 一方、東北、北陸、関東、長野と接する新潟。県市ともに、「どの州でも…」と微妙な立場だ。道州制とは直接関係しないが、国交省が全国を10前後の圏域に分けて策定する「広域地方計画」について、新潟県は「例外的に複数圏域に属せるよう」求めている。

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 目先の利益だけで区割りするのでなく、『国家百年の計』をたてるつもりで区分けすべきだ。現在のつながりがそれほど強くなくても、ある程度の規模を持ち、地理的、経済的に同様の課題を持つ地域で結びついたほうが良い。