希少金属(レアメタル)の確保に関連して

月曜日夜に見たクローズアップ現代では、希少金属の需給が非常にタイトになってきており、特に中国の台頭で日本が入手できなくなるおそれが出てきているとの話をしていました。危機感を色々増幅させる雰囲気、内容でしたが、ゲストは、日本の希少金属利用技術の活用という点を提示していました。もう少し建設的な議論ができないものかと感じました。

思うに、国家として備蓄と称して蓄えるのは、そこでその原材料を用いる企業が単独ではなしえないようなリスクに対応するものであって、基本的には、(1)その原材料が日本として入手困難になるような、いわば一種の流動性リスクに対応するものであるか、(2)価格の大きな変動が予想されかつそういった変動が企業活動や国民生活に深刻な影響を与えるものについて、価格の変動をなだらかにするために設ける といった2つの性格を持つと思います。あるいはその一方でしょう。

石油ショックの経験に懲りて始めた原油備蓄は、この2つの性格を併せ持つ仕組みだと思います。では、希少金属と言われているものが全てこの2つの性格を持った備蓄などの仕組みを必要としているのでしょうか。

(1)は物によっては考える必要があるでしょうが全ての希少金属について考える必要があるかどうかは検討する必要があると思います。

また、(2)の価格変動については、ここ20-30年来大きく発展した、商品先物市場の活用をまず考えることができると思います。

ただ、(1)(2)とも、そこで全て民間に任せるというのではなく、国が出て行く分野もあるかもしれません。

このところ、外貨準備の運用利回りを引き上げる必要性が議論され、そのモデルとしてシンガポールや韓国、中国の例が挙げられています。これはこれで、諸外国の例も含めてもっとオープンな議論が可能でありまたその必要性があると思います。その際、やはり流動性の高い資産で運用することの意義は十分に強調する必要があるでしょう。一方で、希少金属などについて、国が何らかの箱を作ってその箱が希少金属先物を買い建てたりあるいは売り建てるということは考えられないでしょうか。この点、日本の外貨準備も、かつては急激な円高に歯止めをかける、金融商品についての一種の備蓄の役割を果たしていたことも思い起こすことができるかもしれません。