和田秀樹 大人のための勉強法

著者の書く新書ものは軽く、勉強一般から筆者の専門である精神科の話、一般の時事問題にいたるまで、訴えることが明確に、わかりやすく説かれているのが特色。本書は刊行されてから1年余り経過しているが、テレビの問題からこれが心の病に及ぶあたりを説明し、ついで、コレステロール、血圧、血糖値など、それぞれをミクロで見た場合の問題と、いくつかの問題を併せ持つ中高年者が、健康に長生きする場合には、個々の数値をどのように考えていけば良いのかを区別し、後者をより科学的に研究する必要性を説くもの。

テレビのもたらす弊害については、私にも感じるところがある。前の職場で、この善悪に二分する同僚に出くわしたことがある。その境界領域に属する多くの曖昧な事例の存在を認めることで、はじめてより実態に近付くことが出来るのだが。しかし、これは、八百万の神の存在を認める日本や、一神教ではなく多くの仏の存在を認める大乗仏教に通じる話かもしれず、とすれば根の深い問題かもしれない。