銀行の収益基盤、なお脆弱 日銀リポート - ビジネス

なかなか日本銀行のレポートにも気がつかないことがありますが、これは、必読でしょう。メガバンクへの公的資金導入の是非を論じている学生さん達のグループには、補助材料として必読かも。

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これですね、元ネタは。9月11日付け金融システムレポート「金融システムの現状と評価およびその課題:概観」ですね。

(銀行セクターの長期的な収益性)

6.長期的な視点から、わが国銀行セクターの収益性をみると、経費率が低水準に抑制されているものの、利鞘が薄いため、平均的な信用コストを十分カバーできていない。銀行セクターの長期的にみた収益性は、金融システムの持続的な安定を維持していくために必要な自己資本を確保する観点からは、なお脆弱であると言える(第4章)。

7.銀行セクターの収益性を向上させていくためには、長期的な視点に立って、対応策を考えていく必要がある。すなわち、個別金融機関が利鞘を改善させていくためには、顧客の多様なニーズに応える形で、金融サービスの差別化を図り、提供するサービスの価格と品質の組み合わせを多様化していくことが重要である。また、その過程では、投資銀行業務やグローバルな決済業務など、付加価値の高い業務分野への資源投入も展望されよう。こうした新たなビジネス展開を可能とするためには、より客観的なリスク・リターン評価のもとで、既往のビジネスラインの見直しを進め、資本を効率的に活用する余地を一段と拡大させていく必要がある(第4章)。

8.客観的なリスク・リターンの評価に基づき、そのバランスを改善させるための方向性として、第1に、株式保有を前提とした大企業との金融取引は、株価変動リスク等のコストの大きさに見合ったリターンをもたらしておらず、採算性改善への取り組みが必要とみられる。第2に、与信ポートフォリオ管理(CPM)により、貸出ポートフォリオのリスク・リターンのバランスをより客観的に評価し、企業規模や業種、地域に応じた貸出の配分を改善していくことができるとみられる。第3に、中小企業金融でも、より小規模な貸出については、信用情報機関等のインフラを整備しつつ、クレジットスコアリングの拡充を図ること等を通じ、貸出のリスクをより客観的に評価し、リターンのさらなる向上につなげていくことが期待される(第4章)。

http://www.boj.or.jp/type/ronbun/fsr/fsr07b.htm

言うは易く、行うは難し、とはこのことでしょうか。中央銀行流にはリスク管理システムを整えた上で、ハイリスク、ハイリターンを狙えとか、収益源の多角化を図れ、ということになるのでしょうが、国内回帰してしまった多くの邦銀にはなかなか難しい課題でしょう。