地球を読む 医療制度改革 垣添忠生氏

読売 地球を読む
世界で、留める層と最貧層への2極化が進みつつあるとしながら、日本、米国でのそれぞれ背景をまず考える。米国の場合は民間健康保険がレーガンの規制改革をきっかけに林立し、きがついてみれば中産階層も一度大きな病気をすると高額医療費を支払えず自己破産するようになった。英国も、サッチャーのもとで、財政危機に直面して医療費抑制政策を強力に展開し医療制度が崩壊したとされる。入院手術待ちが1年以上、医師の海外流出、医療従事者への患者や家族の暴力行為も頻発して、ブレアが2000年にm医療費を50%増額する政策を明らかにし、2008年までに医療費をGDP比9.4%まで引き上げる政策を開始。小泉改革では社会保障費の大幅削減で医療制度も崩壊を続けている。競争によってサービスの質が上がるというがそういう結果は出ていないとする。
医療費抑制政策をいますぐやめよ、医療制度を守るために医療人は徹底的に混合診療(保険診療と保険外診療の混在を全面的に認める)の解禁に抵抗すべきと主張する。混合医療は、公的保障をできるだけ切り詰めその欠落部分を民間保険で穴埋めせよ、ということで、民間保険のビジネスチャンスを拡大すべきと言うのみ、とする。
高齢者については、日本のために懸命に働いてきた人達が年をとり病気になった場合その面倒を見ないというのは、棄民に穂と椎と談ずる。これを改めれば、日本を覆う暗い抑圧感から爽快な解放感がうまれ、縮み志向を払拭し経済が回り出す、とする。
ここまでは論旨についていけるのだが最後の部分はもう少し具体的な後付け、検証が必要な部分ではないだろうか。英国と北欧諸国の分析の下りである。それは、垣添さんではなく、この主張に賛同するエコノミスト、政治学者などの責務じゃないだろうか。

英国で医療費を大幅に増額しても英国経済は堅調である。また、北欧諸国の社会保障の充実と好調な経済は、何よりの証拠である。もちろん、総医療費をどのくらい伸ばせばよいかは緻密な積み上げが必要であろう。そして、医学界、医療界も、医療の質の確保、専門医とかかりつけ医の連携、専門医の適正な数と質など、多くの改革すべき課題がある。